いじめや不登校など学びの場での困難について

品川区では、令和2年2月から区内の中学校においていじめの事例が発生しました。命の危険があるという訴えにもかかわらず、この問題が重大事態として認識されるのが遅れ、先月の令和5年8月31日に、品川区いじめ問題調査委員会によって調査報告書が公表されたことを確認しています。

学校および教育委員会がいじめに関する現状の認識について、品川区においていじめが適切に認知されていない可能性があることが指摘されています。東京都の令和3年度における児童・生徒1000人あたりのいじめ認知件数は47.5件であるのに対し、品川区では児童・生徒1000人あたりのいじめ認知件数が4.3件と低いことが示されています。この差異について、改善が必要な点が指摘されています。いじめ事案の認知に向けた取組として、教育委員会は今後、無記名式アンケートなどの手段を導入する予定ですが、無記名アンケートはこれまで実施されなかったのでしょうか?また、アンケート結果を通じて期待される効果について教えていただけますでしょうか。

さらに、いじめを認知するためのフローについても詳細をお伺いします。

いじめ事案を解決する責任を持つ組織を設置する検討が行われていることについて、学校・教育委員会から独立した、解決に向かう権限を持つ組織を設立することは非常に重要だと認識しております。具体的な組織の体制、必要な人材の確保、設立時期などについて、今後の計画についてお聞かせいただけますでしょうか。

フランスでは、今年9月に「他の生徒の安全や健康リスクをもたらす生徒の意図的かつ反復行為」が確認された場合、校長は「これを終わらせるためのあらゆる教育措置を実施する義務がある」とされ、自治体首長に「加害者生徒を学校から退学させ、自治体内の別の学校に登録する手続きを要請できる」との方針が導入されました。被害者が転校を余儀なくされた事案でしたが、加害者が特定できる場合、加害者に対する別室登校やZoomを活用した授業受講などについて、改めて区の見解を伺いたいと思います。また、これらを実行する権限を持つのはどちらでしょうか。

文部科学省の調査によれば、クラスには発達特性を持つ、またはそうした可能性のある生徒が少なくとも1人は存在するとされています。時代の変化や異なる家庭環境など、児童・生徒が多様な特性を持っているのは事実です。さらに、同省の情報によれば、いじめは不満やストレスの発散手段として起きやすいとされています。

中学生の7年生以降、教科ごとに担任がつく教科担任制が導入されますが、義務教育過程では最大で35人の生徒をまとめるクラスも珍しくありません。特に低学年では、クラスをまとめること自体が教職員にとって大変な仕事と言えます。授業を担当する教師が1人しかいない場合、特性を持つ児童・生徒に注意を払う余裕がない事例もあるかもしれません。このような問題が教育現場で生じている可能性があると考えます。

教職員の負担を軽減し、児童・生徒の教育を向上させるために、各クラスに少なくとも1名の教員補助を配置することが必要だと考えます。通常時から2名以上の大人の目があり、休憩時間を含めても常に1名以上の大人の目があれば、いじめの防止に貢献する可能性があると考えます。区としての見解をお聞かせください。

クラスの状況や授業内容に応じて教員補助を追加しているところもお見かけしますが、日々の変化に対応するためにも、事態が深刻化する前に十分なサポートが必要です。学校に通う保護者からは、クラス内で児童同士のトラブルが発生し、校長先生がクラスに入り見守った際、児童たちが安心したという声も寄せられました。校長先生のように大人が常に監督していることは、いじめの防止に一定の効果があると考えられます。ただし、校長先生も日常業務があるため、このような対応が長期間にわたって行えるかどうかは不明です。教育現場の人手不足に対処し、教師の負担を軽減するためにも、サポート役の導入に向けて、どのような人材が適しているかを検討することが重要です。区の見解をお聞かせください。

新型コロナウイルスの流行や長期休暇明けにおける、全国的に懸念されている問題が、不登校児童・生徒の増加です。令和3年度の統計によれば、全国の小学校における不登校児童の数は81,498人(1000人あたり13人)、中学校における不登校生徒の数は163,442人(1000人あたり50人)、高校では50,985人と報告されています。特に中学生の不登校が著しく、学年が上がるにつれてその数が増える傾向が顕著です。当区においても、不登校の児童が令和元年度には121人、生徒が195人であったのに対し、令和3年度には児童が222人、生徒が270人と、児童と生徒の双方において増加傾向が続いています。

不登校の理由は多岐にわたり、単一の要因に帰結されることは少ないです。この観点からも、小さな変化に気づける大人の目が不可欠です。また、当区の現状を考慮し、義務教育の初期段階からマイスクールへの受け入れを拡大する必要性を提唱します。マイスクールの利用状況と不登校児童・生徒の増加傾向について、区としての見解をお聞かせください。また、マイスクールからフリースクールに転校した児童・生徒の数についても提供いただければありがたいです。児童・生徒とその保護者が安心して教育を受けられる環境を整備するために、引き続きさまざまな取り組みを進めてくださいますようお願いいたします。

【答弁】
いじめや不登校に関する質問にお答えします。まずアンケートについてですが、これまでも各学校で、毎年5月、10月、1月にいじめの早期発見を目的とした、無記名の生活アンケートを実施し、学級の実態把握に努めてまいりました。アンケートによりいじめの可能性について把握でき、学校図面認知を行うどうせいると認識をしております。被害児童生徒への適切な支援につなげることができると認識をしております。
年度は法令に基づいて決定し、いじめを決して見逃さないようにすること、より丁寧に調査分析し、適切な対処を行うよう周知徹底をはかっております。いじめ認知までのフローに関しては、まずいじめが疑われる行為を把握した教員が学校いじめ対策委員会に報告し、心理的・物理的影響を与える行為があったか、受けた児童生徒が心身の苦痛を感じているかといういじめの定義に照らし、いじめか否かを判断します。学校教育員会から独立した、解決する組織体制としては、令和6年に区長部局のソーシャルワーカーさん弁護士のいじめ相談対応や支援をまたいじめ専用ポータルサイトの立ち上げ、いじめの相談受付や防止啓発を行い、いじめの早期発見・早期解決に取り組んでまいります。
次にいじめをやめさせ、防止することは非常に重要であり、そのためには教職員による組織的、継続的な指導や支援が必要です。事案の重大性によりますが、被害児童生徒の安全を確保し、一方加害授業生徒の学習を保障する観点から加害児童生徒を一時的に別室に登校させたり、オンラインで授業を受けさせることは一つの方法であると捉えております。なお、これらは学校の判断・権限で行うことができると「いじめ防止対策推進法で」定められています。
教員補助やサポート役についてですが、児童生徒の発達段階や1人1人の個性に理解のある人材が適していると考えております。現在学校には担任とチームティーチング授業を行う指導助手をはじめ、発達障害教育支援員、学習支援員、介助員など、これらの資質を備えたスタッフを配置しており、今後もより支援の充実を図ってまいります。
次に不登校児童生徒への支援についてです。令和4年マイスクール通室者は、児童が33名、生徒が66名、合計99名でした。低学年の場合は、学校やハーツの働きかけにより、早期に学校復帰が可能となることがありますので、マイスクールの利用については、検討課題と捉えております。なお、国や都と比べると、不登校児童の出現率は低い傾向にありますが、人数としては、低学年も含め、増加傾向にありますので、対策の強化が必要であると考えております。またフリースクールの利用については、区が把握している人数は令和4年度16名でした。今後とも、多様化する不登校児童生徒が適切な教育を受けられるようにフリースクール利用状況の把握と連携に努めると共に支援の更なる拡充を図ってまいります。

次に、品川区におけるGIGAスクールへの取り組みについてお伺いします。

令和4年度入学の高校1年生からは、「情報Ⅰ」が必修科目となり、2025年1月に実施される大学入学共通テストにおいてはプログラミングを含む「情報」の試験が導入されることになりました。高校1年生からプログラミング言語「Python」を学ぶこととなり、中学校卒業までにHTML、CSS、JavaScriptなどのテキストコーディングを用いた課題解決ができることが求められるでしょう。

品川区の義務教育過程では、1年生からタブレットを配布し、鉛筆や教科書と同様に一般的な教育アイテムとなっています。小学校段階でビジュアルプログラミングの基礎を実施していると理解しておりますが、その現状についてお知らせください。また、中学校におけるプログラミングの授業について、どのプログラミング言語が使用されているか、どの教科で行われているか、年間の授業時間数についてお伺いします。

プログラミング教材について伺います。例えば、理科や算数・数学などに使用される設備には理科教育振興法に基づく補助金が提供されていますが、情報やプログラミングの教材にはそのような補助が行われていないため、授業の準備において教職員はできるだけお金をかけない工夫や、苦労していることがあります。

さらに、情報科目は他の科目と比較して、非常勤や兼任の教員が多いという現状を把握しております。教職員や学校ごとに履修漏れが発生し、教育格差の懸念も浮上しています。

情報やプログラミングの教材について、公費を活用してサポートするべきだと考えますが、見解をお聞かせください。

プログラミングを活用した課題解決や成果物の制作において、AIの活用は効果的で、社会でも業務効率化に役立っていることと思います。しかし、AIを適切に活用するためには適切なガイドラインや方針が必要です。生成AIの利用に関する暫定的なガイドラインは文部科学省の前向きな方針ととらえておりますが、品川区としてはどのようにお考えでしょうか。また、AIリテラシーを学ぶ時間を設ける予定はあるのでしょうか。これは、ネットリテラシーやSNSリテラシーと同様に重要なスキルであると考えられます。

【答弁】
GIGAスクールへの取り組みについてお答えいたします。初めに、プログラミング教育についてですが、区立小学校および義務教育学校前期課程では、教育課程に位置づけております。プログラミング的思考を育むことを目的とし、算数や理科他、音楽や社会、家庭などの教科でもさらに市民科学習の中ビジュアルプログラムに取り組んでいます。
また、中学校および義務教育学校後期課程では、技術の授業において小学校での学習を踏まえビジュアルプログラミング言語やHTMLなどのプロプログラミング言語を3年間で20時間前後学習しております。次に、情報やプログラミングの教材についてですが、教育委員会としては、コミュニケーションロボットを学校に貸し出している他、各校に割り当てている学校予算や、学校から申請する特色ある教育活動の予算にて、公費負担をしております。次に、生成AIについてです。令和5年7月に文部科学省から出されたガイドラインは既に学校に周知しています。ガイドラインが示している通り、生成AIは発展途上にあり、個人情報の流出、偽情報の拡散等、様々なリスクがあるということを、児童生徒が理解した上で、適切に活用することが大切だと考えております。
今後、市民課の情報教育ITリテラシーについても、AIリテラシーについても学ぶ場面を取り入れてまいります。

働きながら安心して子育てができる環境についてお伺いいたします。

当区では今年度から第二子以降の保育料が無償化され、ご家庭の負担と不安が軽減され、子育てがより円滑に進むことが期待されます。私自身も共働き家庭であり、二人の子供は保育園、現在も下の子が保育園に通っており、経済的な負担の軽減が子育てを助けていることを実感しています。

育児休業中の保育時間についてお尋ねします。第二子以降の出産後、育児休業中でも上のお子さんを保育園に預けることができます。これまでは、育児短時間の7時間保育に加えて、預ける時間帯が9時から16時に制限されていますが、10月より短時間認定と同様になるということで、育児休業中も父親や働いている方の送り・もしくは迎えが出来、さらに、体の回復が必要な育児休業期間、夫婦間の家事育児の協力体制が崩れるリスクが減るのではないかと期待しております。

東京23区には育児休業期間中、短時間保育を適用しない区や、標準時間と短時間を選択できる区もございますが、区としてはこの点についてどのようにお考えでしょうか。

保育園側は、育児休業による短時間保育の対象となるお子さんがいる場合、保育士の配置体制を見直しているか伺います。

私立保育園や民営園において、育児休業短時間保育の利用に応じて補助金の額が変動するケースがあるかについても教えていただければ幸いです。

短時間保育による保育士の配置や、補助金額に変動がないのであれば、多様なニーズに答えることができるように当区も標準時間と短時間の選択制を導入するべきだと考えます。

多くの共働き家庭にとって第二子や第三子を望む意欲に影響を与える可能性があります。品川区の今後の方針についてお聞かせいただきたいと思います。

また、共働き家庭における問題として、小学1年生が独りで行動する「小一の壁」という課題が存在します。しかし、品川区の全小学校にすまいるスクールが存在し、保護者からの要望を受けて、仕出し弁当の提供などの試みが行われていることを評価いたします。今年度の夏休みに行われた一校での試験的な実施の際に発生した課題や、アンケート結果で浮かび上がった意見や印象的な事例について教えていただければ幸いです。冬休みや春休み、また来年度以降、多くのすまいるスクールへの導入へ向けた計画や人員の確保について、品川区の方針をお伺いしたいと思います。

【答弁】
安心して子育てができる環境についてお答えします。育児休業中の保育時間についてですが、品川区を含め13区が短時間認定であると認識しています。区では、子供の過ごす時間を大切にしてもらいたいという趣旨から、登園時間を原則午前9時から午後4時としておりましたが、保護者からの要望も複数寄せられており調整を重ねた結果、令和5年10月1日より8時間までご利用可能とし、時間帯の指定も行わないように変更いたします。保育士の配置については、短時間認定の子どもも定員に含むことから、加配や運営費補助は行いません。なお、選択制の導入については、今後の運営状況や他区の動向を注視してまいります。次にすまいるスクールの仕出し弁当についてです。弁当の提供は保護者と弁当業者が直接契約する形をとり、8月の平日のうち、10日間、すまいるスクール第一日野で施行実施をいたしました。利用者の声としては、お弁当を作る手間が省けるなど肯定的な意見がありました。一方で、運営面では弁当の受け取りや片付けの際の人員が不足するなど課題がございました。今回の課題も含めて改善を図るとともに、拡大に向けて検討を進めております。

男女共同参画を支える健康づくりについて質問します

女性の年齢別就業人口がM字型からL字型に変化し、かつては結婚・出産を機に仕事を辞める傾向から、女性活躍推進法や働き方改革関連法に基づく企業の取り組み、保育の受け皿整備、育児休業制度の有効な活用が増加し、キャリアを続けることが支持されています。しかしながら、非正規雇用の女性も多く存在し、男女の収入格差は未だに存在しています。

1日の時間の使い方において、男性は仕事に、女性は家事に多くの時間を費やしており、具体的には、女性は無償労働時間が週平均で1日あたり224分であるのに対し、男性は41分です。有償労働時間においては、女性は272分であり、男性は452分です。特に、男性の有償労働時間が長く、無償労働時間が極端に短いことが特筆され、これが女性の社会での活躍や、男性の家庭や地域での貢献を制約していると考えられます。

こうした状況の中で、品川区は「しながわ〜く推進プラン」において、女性職員の活躍を推進し、管理的地位における女性職員の割合および係長級における女性職員の割合が、東京23区と比較して上位に位置していることが示されました。この結果を生み出す要因について教えていただけますでしょうか。

政府が掲げた2030年までに女性が指導的地位に占める割合が30%という目標に向け、品川区職員および区内の企業へのサポートについて、区の方針を伺いたいと考えています。

また、厚生労働省の調査によれば、係長級の平均年齢は男女ともに約45歳であり、課長級はその3〜4年後ということです。日本の女性の平均閉経年齢は50歳、その前後10年間が更年期と呼ばれ、昇進するタイミングで更年期症状が起こる可能性がある点が指摘されています。

症状は人それぞれですが、この時期には急激なホルモンの変化と、増加する責任とプレッシャーによるストレスが影響する可能性があります。更年期症状を自覚しているにもかかわらず、

かかりつけ医がいない・どういった科の病院に行ったら良いのかわからないという人が大半で、40代・50代で更年期症状を自覚していても、病院を受診していない割合は8〜9割ほどという調査結果があります。

症状の軽減策がある中で、受診の機会が不足している課題について、区としての見解をお聞かせください。

さらに、更年期は男性にも該当します。男性ホルモンの低下は緩やかではありますが、その際には女性と同様の心身への症状が発生します。

女性だけでなく、働き盛りの全ての人が、更年期で悩まされる可能性があることだと、とらえております。

治療や症状の対処について、多くの女性は産婦人科にかかることを想像できるかと思いますが、男性からご相談があった際の案内についてお伺いしたいと思います。

また、男性更年期の認知はどの程度あるとお考えになりますか。保健センターへの相談件数の割合を伺います。

【答弁】
男女共同3を支える健康作りに関するご質問。女性管理職の割合が多い要因等についてお答えします。
初めに、管理監督職に占める女性職員の割合が23区上位である要因についてです。品川区しながわ〜く推進プランにおいて、令和7年度まで女性管理職の割合を30%にするという目標を掲げ、以前から、職員報などで女性管理職や係長の紹介をし、ロールモデルを提示することにより、管理監督職への勤務醸成を図ってまいりました。こうした地道な取り組みが結果に繋がっていると分析しておりますが、目標達成には至っておらず、更なる取り組みが必要であると認識しております。引き続き、女性職員の昇任意欲の醸成と仕事と子育てとの両立支援や職員採用の強化による負担軽減、男性の育児参加を進めるための男性育休の推進など総合的に取り組むことにより、職員がその能力を最大限発揮できる職場環境の整備に努めてまいります。
また、区内事業に対しては、出産育児に伴う女性のキャリアその課題対応や保険的な性別役割分担の解消、ワークライフバランスなど啓発等に努め、全ての人が自らの個性、能力を最大限に発揮できる社会に向けて尽力をしてまいります。
更年期症状を自覚している方の受診の機会が不足していること等についてお答えいたします。更年期症状の自覚症状は様々であり、他の疾患との付きにくいものも少なくないと考えられます。こうした体調不良の場合には、すぐにかかりつけ医に相談できる体制の確保は重要であり、区は医師会のご協力のもと、かかりつけ紹介窓口を設置しています。多くの区民がかかりつけ医を持つことで、身近で気軽に適切な医療サービスを受けられ、専門的な医療にも繋がる仕組みを引き続き周知してまいります。
次に、男性からの相談へのご案内についてお答えいたします。3箇所の保健センターで健康相談を実施しており、ご相談の内容によって、適切な医療機関に繋いでおります。また、男性更年期の認知度に関して、保健センターでの相談件数の割合でございますが現在までのご相談の実績はほとんどございません。本年11月に性別に関係なくありうる更年期障害への理解促進を目的にいたしました講演会を開催し、広く区民の皆様へ更年期に関する知識の普及啓発を図ってまいります。