令和6年第3回定例会 一般質問
9月20日
1年に一度の一般質問をおこないました。
質問の作成には、区民の皆さんのご協力をたくさんいただき、感謝を申し上げます。
また、政務活動費を使用して視察や研修に参加をさせていただきました。学ぶだけにとどまらず、おかげさまで具体的な提案や指摘ができたと感じています。ありがとうございました。
熱中症の対策と対応について
今年の夏の猛暑は非常に厳しいものでした。連日35度を超える日が続き、熱中症のリスクが高まる中、多くの人が注意を払いながら過ごしてきたことだと思います。
熱中症の搬送件数は増加し、消防庁の発表によると、全国における熱中症による搬送は調査を開始した平成20年以降、7月としては2番目に多い搬送人員となっています。特に高齢者や屋外で活動する人々への注意が必要でした。
区は、公共施設などに冷房の効いた休憩スペース「避暑シェルター」を民間施設とも協力をして設けたり、予備費を投じた、飲料や塩分タブレットの提供、屋外施設のキャンセル料の免除、暑さ指数の計測など、熱中症予防のための情報発信や注意喚起が行われ、積極的に熱中症の対策を行ってきたと感じています。
私も予定時刻まで少し時間があった日に、近くのゆうゆうプラザで休憩をさせていただきました。「どうぞ涼んで行ってください、麦茶飲まれますか?」と冷たい麦茶をいただきました。子供も一緒だったのでとても助かりました。
緊急対策として予備費を投入した熱中症対策の効果や、ご所感をお聞かせください。
学校関係者とお話をしていたところ、区として熱中症警戒アラートについてのお知らせが届き、暑さ指数の計測や活動内容の厳守を改めて意識したという感想がありました。
熱中症対策の周知として意識された点をお知らせください。
対策と合わせて必要になってくるのが、適切に対処することだと思います。
熱中症の重症度はⅰ、ⅱ、ⅲと分類されます。頭痛や吐き気、倦怠感や意識障害を伴うⅱ度以上は、適切な対処が必要になり、40℃以上の高体温が続くと、後遺症を伴う可能性もありますので一刻も早く体温を下げることが求められます。
環境省の動画でも紹介されているように、特に労働や運動をしている時の熱中症の対処は、全身を氷水や冷水に浸ける「氷水浴/冷水浴法」が最も体温低下率が高く、救命につながることが知られていますが、一部では行うときに医療有資格者を配置するという情報もあります。医師が不在の状況で最も身体冷却効果の高い手法として、水道につないだホースで衣類の上から全身に水をかけ続ける「水道水散布法」が推奨されています。
重症熱中症に対する対処法として「氷水浴/冷水浴法」や「水道水散布法」について区としても推奨していますか?
重症熱中症になり、仮に水道水散布法を行う場合、どこで行えるか。ホースはどこの蛇口から引っ張ってくるか。長さは足りるのか。その場所までどうやって意識障害のある人を運ぶのか。など、
対処法について共通の認識をもち、対応することができるように、区としての重症熱中症対応マニュアルを作成するべきだと考えますが、いかがでしょうか。
運動をする施設としては、学校や、屋外運動施設の管理事務所へもマニュアルの共有と対応の周知をしていただきたいと思います。
そして、緊急時とはいえ、全身に衣類の上からホースで水をかけ続けるという対応は、心理的なハードルも高くなり実行しにくい可能性もあるため、意識障害があれば水をかけるなど、緊急時の実施のハードルを少しでも低くするように広く周知をするなど取り組んでいただきたいと思いますがいかがでしょうか。
次に、避暑シェルターにも指定している児童センターについて伺います。
まず区では公共施設で開設している避暑シェルターを気候変動適応法によって指定暑熱避難施設(クーリングシェルター)に指定しました。環境省の指定暑熱避難施設の指定・設置に関する手引きを確認すると、民間施設とも協定を結ぶことで指定することができると確認いたしましたが、今後の対応を伺います。また、指定暑熱避難施設の名称、所在地等の公表について、「住民が指定暑熱避難施設にアクセスしやすいように、ウェブサイト上に地図とともにわかりやすい形で公表することが望まれる。」という記載があります。外出中でもマップから近くのクーリングシェルターを知ることができれば対策の効果や利便性の向上が図れると思います。
そこで個人的にGoogleマイマップを使って施設の位置をマッピングし、開館日と時間でグルーピングしてみました。すると、地域に満遍なくクーリングシェルターがあるように見えますが、日曜日に利用できる施設はグッと少なくなっていることに気づきました。
私自身、子育てをしながら区議として活動する中で土日にお祭りなどのイベントに参加することがあり、区民には土曜日や日曜日も働いている方もいらっしゃって、週末に子ども達が過ごす場所について悩みの共有をしています。
区長も子育てをしながら、土日もイベントに参加されていますが、週末に子ども達が過ごす場所についてはどのように感じていらっしゃいますか?
特に夏休み、酷暑でしたので公園に行ってらっしゃいとも言えません。かといって家でお留守番もゲームやテレビの時間が長くなっていないか心配になってしまいます。身近にある児童センターで過ごすという選択肢が増えたら、安心ですし、より子ども達の仲間の輪が広がると思います。
児童センターは区内で6箇所、日曜日にも開館していますが、クーリングシェルターとしての役割をもつ児童センターの日曜日の解放施設を拡大していただくことを要望します。ご所見を伺います。
子ども達がのびのび過ごせる場について
かねてよりボール遊びができる公園の拡大について取り組んでまいりました。昨年は200名を超える区民の方からのアンケート回答をいただき、今年は対面で意見交換会を開催いたしました。
その中で、品川区で新たな公園や広場を整備することの難しさ、また、今の公園に設置している禁止看板を一つずつ地域の皆さんの理解を得て変えていくこともまた難しいと感じているなどのご意見をいただきました。それでは、今ある場所を区民のために利用できるようにすることで解消をしていけたらいいのではないかということで、学校の校庭や、区立体育館、屋外の運動施設などもっと使えるようになったらいいなという意見が上がりました。
その中から本日は学校の校庭について、
せお議員に声をかけていただき、神奈川県川崎市の「みんなの校庭プロジェクト」について川崎市教育委員会の担当者からお話を伺いました。
川崎市ではこのプロジェクトにより、放課後、全ての小学校で校庭開放を行っているということですが、特徴的なのは、子どもたちの要望の声から始まり、子ども達がルール作りをすることです。
品川区でいうすまいるスクールを、川崎市ではわくわくプラザという名称で、全ての小学校で行っています。放課後、わくわくプラザ利用者と、校庭プロジェクトの利用者という二つのグループが、校庭を使うことになります。それも子ども達が作ったルールで、時間を分けたり、使う場所を分けるなどして運用をしているそうです。
学校は、校庭という場の提供をすることで、地域の財産を有効活用しています。
怪我をしたり、困った時は、公園などで怪我をしている子供を見たら、いち大人として声をかけたり、寄り添うのと同じように、その場にいる保護者などの大人が声をかけたり、わくわくプラザのスタッフが初動対応をおこない、校庭プロジェクトの利用者に対しては、任意保険の加入を進めるなど、家庭の責任で参加することをしっかり周知することで、子ども達がのびのび遊べる環境作りを進めています。
品川区では土日の校庭開放をしています。私も校庭当番をした事があり、その時は低学年から高学年まで、ボール遊びや一輪車、縄跳びをして過ごしていました。
しかし、区民の方からたまにお聞きするのが、うちの学校は校庭開放をしていないというお声です。学校ごとに運営が異なり、在校生のみが利用できる校庭開放は、地域によって差が生まれ、校庭で遊びたい子ども達が遊べないという現実があるのではないかと思います。
そこで、川崎市の対応をお聞きすると、例えば改築中で校庭が使用できない学校は、地域で連携して空いている学校の校庭を使うようなイベントの開催や、地域開放をしているという事です。品川区では近隣の小・中学校で連携をしています。そういった連携校の中で、在校生以外も参加できるようになれば、地域による差を埋められると思いますがいかがでしょうか。
地域の財産としての学校の活用へ現在の校庭開放からもう一歩、どの地域に住んでいる子ども達も、のびのび遊べる場所の提供をお願いしたいと思います。
次に放課後の校庭開放については、すまいるスクールや、地域団体が利用している場合もあります。いくつか条件がある中でのルール作りや、校庭の利用について子どもたちに意見を聞くことを進めていただきたいと思っておりますがいかがでしょうか。
水辺の安全教育について
水泳の授業での安全教育について伺います。
品川区の水辺というと河川や運河がありますが、海水浴場がないため水辺の事故が区内で発生するということはあまり想像できないかもしれません。品川区の子ども達が海や川へ遊びに行き、事故にあわないためにも学校での安全教育はとても大切です。
この夏、日本ライフセービング協会が主催する江戸川区のカヌースラロームセンターでの親子講座と、東京都狛江市の狛江第一小学校のライフジャケットを取り入れた水泳の授業の視察、そして、うみらい環境財団が主催する海のそなえシンポジウムを拝聴してまいりました。
海のそなえシンポジウムの中で使用されていた「日本財団 海のそなえプロジェクト」の調査資料によると日本の不慮の水難事故は世界ワースト2位だということ。また、交通事故による死者数は1995年と比べて4分の1に減少しているにもかかわらず、不慮の溺水事故による死者数は横ばいという点が注目されました。これは交通事故の検証が詳細に行われるようになり、合わせて交通安全教育が充実した結果だと思われます。
一方で水難事故は検証がされているのか、報道では背景など具体的な情報が明かされないため、対策がしづらく、再び同じような事故が起きてしまうという状況にあります。そこで伺います。
品川区立学校で水泳の授業中に事故が発生した場合、検証結果と具体的な情報の共有方法をお知らせください。また、事故にはならなかったが、危なかったという場面の共有はされていますでしょうか?事故防止のために、各学校でしっかりと対策が取れるような詳細の情報を、ヒヤリハットも含めて区内全ての学校で得られるようにするべきだと考えます。
次にライフジャケットについてです。同調査によると、溺れそうになっても助かるそなえとして、約6割が「ライフジャケットの着用」の回答に対して、実際に着用経験があるのは半数以下。ライフジャケットは命を守ってくれるものであるが、着用経験率との乖離があることがわかります。
視察した小学校の水泳の授業では、日本ライフセービング協会がライフジャケットを人数分用意し、ライフセーバーが講師として、水辺の危険性や、その時の対応を現場の経験からお話。その後は実技にうつり、着衣のままプールに入り、背浮きをしてみます。2〜3割の児童ができていましたが、半数以上は服の重みでうまく浮きませんでした。それからライフジャケットを着用してプールに入ると、全員が浮くことができ、児童からはライフジャケットの重要性を体験できたと感想の発表もありました。プールは波がないので、自然の海や川だとどうなるでしょうか。溺れてから冷静に浮く事は本当に難しいものだと想像します。そのために、ライフジャケットや浮力になるものを身につけておくことは水辺の事故防止に効果があると考えます。
しかしライフジャケットの着用経験が少ない現状ですので、もっと身近なものにして行くために、学校の授業に取り入れることで海や川で安全に過ごすために必要なものだと知ってもらい、加えて、親世代への知識の普及を期待できるかもしれません。
品川区立学校では、ライフジャケットを使った授業や外部講師を招いた安全に関する水泳の授業を実施している学校はありますでしょうか?
また、全ての学校で、児童生徒に手に取ってもらえるように、例えば、目黒区は学校に1枚ずつライフジャケットを購入し配布しました。子ども達が実際に手に取ってみることや、水泳の授業で体験することで、安全意識の醸成を測ることができると思いますがいかがでしょうか?
令和6年夏の水泳の授業について伺います。
実際にプールに入る前に、座学による安全教育は必ずしていますか?なんの教科で、誰が教えているか伺います。
授業の回数について、熱中症の対策が確実にされ、または、天候不良で水泳の授業が中止になった学校・クラスが今年も多かったのではないかと感じています。主に屋外にプールがある学校だと思いますが、この夏の実績を、例として、三木小学校でプールを使った授業の予定時間数と、実施時間数を伺います。
また、中止になった場合は、どのような学習の時間に振り替えているか伺います。
ある程度は天気予報で予測し、教員は水泳の指導内容と合わせて、中止になった時の指導内容を考えておくのではないかと思います。
日本ライフセービング協会が作成した、e-lifesavingというオンライン教材は、小学校・中学校の新学習指導要領に沿い「水泳運動の心得」や「安全確保につながる運動」、「水辺の事故防止に関する心得」などへの実践的理解を深めるような構成となっていて、安全教育や、授業が振り替えになった際に、特別な準備がなくても取り入れることができるのではないかと思いますが、こういったオンライン教材を取り入れてみてはいかがでしょうか。見解を伺います。
子ども達の安全を守るために、専門性のある質の高い授業を格差なく行っていただくようにお願いいたします。
最後に、同調査より、溺れの経験は12歳以下が多く、その中でもほとんどが小学生以下で体験しているということが書かれていました。
未就学のうちから安全教育や対策が必要だということがわかります。
区としても、子ども達が水難事故に遭わないための対策や、安全グッズを身につけることを広めていただきたいと思います。普及啓発の方法として、防災とキャンプと掛け合わせることで、より多くの方に興味を持ってもらい備えを学ぶというような工夫をよく見かけます。
アクティビティ✖️安全で、未就学児から、その親子で一緒に水辺の安全対策ができるのではないかと考えます。
区では水辺を活用したアクティビティの試行をしますが、具体的にどのようなアクティビティを実施予定でしょうか、体験できる対象になる年齢もお知らせください。その機会にライフジャケットの着用体験をしてみてはいかがでしょうか。
ライフジャケット以外にも、浮力になるグッズの開発が進んでいます。アクティビティの体験者をはじめ、いらっしゃった方の目に留まるように安全対策グッズの展示など、関係団体と協力することで可能だと思います。合わせて見解を伺います。
子どもたちの未来を守るためにも、安全教育にさらに力を入れていく必要があります。
本日の一般質問を通じて、安全かつ健康に成長できる街づくりを推進していくことを、強く願い、質問を終わります。